REPORT
『アジア・フェローシップ帰国報告会&劇団印象リーディング公演・ブラッシュアップWS』
2015.6.17
6月6日水曜日に、国際交流基金さくらホールにて、
『アジア・フェローシップ帰国報告会&劇団印象リーディング公演』を行い、
8月の「グローバル・ベイビー・ファクトリー2」本公演に向けて、第一歩を踏み出しました!
●6月5日(木)夜 顔合わせ
印象主宰の鈴木が、6月1日にタイから帰国し、この日は、初めての稽古でした。
今回は「書き下ろしリーディング」という事で、
本当に出来たてホヤホヤの脚本がその場で配られました。
ドキドキの瞬間です!
脚本と同時に、タイのお土産が配られました。
“ドライマンゴー”と、今回の物語の中にも登場する、
孤児院で暮らす子供達が作った“キーホルダー”です。
これでタイの空気を感じつつ、稽古が始まりました!!
自己紹介を終えると、早速、台本を声に出して読み合わせします!
鈴木は、初めて音になって聞く台詞に、なんだか汗が吹き出ている様子。
「はい、そこまで」
読み合わせが止まるたびに、
「ははははは…」と力のない笑い声が聞こえていました。
リーディング用の仮のキャスティングをし、当日の流れを確認…そうこうしているうちに、
あっと言う間に稽古終了の時間になってしまいました。
実は、私達にはひとつ大きな問題がありました。
それは、脚本がまだ、最後まで書き上がっていないという事。
明日が本番…どうなる私達!?
●6月6日(木) 本番当日
いよいよ…いや、もう!本番当日がやってきました。
まず12:00過ぎに、スタッフチーム、会場に集合!
国際交流基金の皆さんと、1日の流れを打ち合わせました。
13:00頃、キャスト全員集合!
おしゃれな会場に、メンバーから「素敵~!!」の声が上がります!
リーディング用の衣装を着て、凛としたメンバー達の雰囲気は、座組み開始2日目とは思えません。
さぁ、脚本のラストシーンの行方はというと…!
やはり、まだ完成しておらず、リーディングでは、途中のところまでを上演することになりました。
しかし、昨日の稽古からは、新たに脚本が書き加えられ、なんと半分以上脚本を差し替え!
約2時間のリハーサルでは、舞台の上で立ち位置の確認や、劇中の、歌やラップ等の確認をしました。
本番。
まずは、最初のプログラム、国際交流基金の稲田さんによる、
「アジア・フェローシッププログラム」の紹介が始まりました。
アジアとの国際交流に興味のある方は、HPもありますので、是非チェックしてみてください!
続いて、アジア・フェローシップ帰国報告会です。
千徳美穂さんの司会で、鈴木が、2カ月のタイでの滞在を語りました。
タイの演劇との出会いや、バンコクにある10ヶ所の、主な小劇場について、
また、タイの演劇人達の「表現の自由」についての想い、今後のプロジェクト等々が語られました。
私自身も、今までに2回バンコクへ行っていますが、
バンコクの演劇人達が、違う劇団であっても、皆繋がっていて、
協力し合っているのがとても印象的でした。
そして、リーディング上演!!
一度も読んでいないページがあったり、緊張もしましたが、無事に約70分の上演を終えました。
1番最後の「途中だが、ここで一先ず終わる」というト書きには、会場から「わはは」という笑いが起き、緊張が解けて和やかな雰囲気になりました。
休憩を挟み、最後のプログラム「ブラッシュアップ・ワークショップ」開始!
司会:佐川大輔さん(演出家/THEATRE MOMENTS)
ゲスト:永井愛さん(劇作家・演出家)
岡野宏文さん(ライター・エディター)
どのようなワークショップだったかということを、
一部抜粋してレポートさせていただきます。
〈司会〉
「まず初めに、戯曲について、ポジティブな感想をお願いします。」
〈永井さん〉
「まず冒頭部分が、とても面白い。何か、面白くて深い事が始まりそうな気がする。親しみやすい感覚と、それだけではない何かを感じる。男性が、女性の身体の痛みについて憧れを抱くという発想もとても面白い。」
〈岡野さん〉
「一つの場面で、何人か出てくる登場人物のうち、必ず一人が最後に残って、そのまま次の場面へ転換するというやり方がとてもスムーズで良い。
それから…
“テーマ・モチーフ・ストーリーという三つの要素が、バラけていると面白い”という、良い脚本に対する持論があるが、この作品は、“メディア・母体・倫理・子供のアイデンティティーetc”と、モチーフだけでも複数あり、面白くなっていきそうだ。」
〈お客様〉
「代理出産というテーマを扱っているのに、重く感じなかった。ミ○○○○○○が喋ったりして面白かった!」
「普通って何だろう?という、誰もが今考えるテーマが扱われているところが良い。」
「主人公が、なぜこんな事をしたんだろう?という気になる真相が、明かされそうで明かされないミステリアスな感じが良かった。」
「○○のカップルが子供を産むという設定にびっくり!」
〈司会〉
「作者から観客に向けての質問です。」
〈鈴木〉
「この作品は、日本人の男性がタイで起こした、実際の事件を元に書いた作品です。そして、その事件を起こした主人公を、非難するのではなく、身近に感じさせるように書いたつもりですが、どのように感じましたか?」
〈お客様〉
共感した→7人くらい
どちらでもない→大多数
共感しない→5人くらい
〈岡野さん〉
「良い作品は、世界の半分を怒らせる。世界を怒らせるくらいの鋭い気合いも必要。」
〈永井さん〉
「実際の事件の内容を聞いて、日本人の男性が、一度に沢山の子供を代理出産で作ったその理由が、“子供が好き”ということ以外である(おそらく)ところに、劇世界を広げる可能性を感じた。特に、彼が“妻はいらない”というふうに考えているところがポイントだと思う。」
前作「グローバル・ベイビー・ファクトリー1」は、代理出産をテーマに女性の視点で書かれた作品でした。
今回第2弾では、主人公は男性。
ブラッシュアップ・ワークショップでも、“男性と女性”についてが話題になりました。
〈永井さん〉
「“軽いタッチ”は、目的ではなく、手段にしてほしい。この題材に隠された重たいもの、わからないものを切り捨てることなく、命を撒き散らす謎に迫ってほしい。人間の秘密に解答を出す必要はないが、切り込む角度で見え方は変わる。誰に頼まれたわけでもない、このテーマを選んだ、鈴木アツトの中には、書く動機がしっかりあるのだから。」
それから、
「劇場に来る全ての観客を楽しませたい」という意見に対し「人に絶望感を与えるというのも、演劇の持つ重要な役割なのではないか」という意見が出たり、演劇とは、自分にとって何だろうか、と考えさせられる場面もありました。
他にも、戯曲に対し様々な角度から意見が出て、とても有意義なワークショップとなりました!
皆様からいただいた貴重なご意見をもとに、本公演ではさらにパワーアップした舞台を目指します。
この日は、約60人のお客様が来てくださいました。
お忙しい中、お集まりいただき本当にありがとうございます。
今回参加してくださった皆様も、そうでない皆様も、8月の本公演を是非観にいらしてください!
メンバー一同、心よりお待ちしております。
山村茉梨乃

